あかるく元気に

おれがおれであるために それは明るく元気でいること だった

𓆡ふぐ

 

中学のときゾッコン大好きだったおれの担任の先生(男)と久しぶりに会った。

知った人が大勢いるとこだったから(つまり時期外れの同窓会的な)、おれと、おれの中学のときの一番の友達は、みんなの前でその先生と話すのはなんか恥ずかしくて、なんかうまく話せないような、なんかもったいないような気がして、息をひそめてたんだけど、いざ3人きり、いやおれと先生の2人きりだったかも、になるとその先生はなんとなくバツの悪そうな顔をして、あんまりおれらと話をすることに気乗りしてないみたいだった。なんで?最近どうですか?元気にやってますか?みたいなとりとめないけど今の先生のことを知りたい一心で質問してみると、先生はほんとシブい顔でこう答えた。

「実は……毒フグっておるやろ?毒フグ。おれいま、毒フグを処理する仕事してるねん。情けないやろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っっっっていう夢を見た。

 

 

 

面白すぎたなぁー。ホンマにそのセリフのとこで目覚めて、時計見たら普通に遅刻寸前大慌ての時間やった。(おれの遅刻寸前大慌てとは、ベッドから出てほんと5分たらずで家を出ることである。もちろん歯も磨いてからな。ふん)

起きたらふぐとせいけのことしか頭になくて、いくら第二の登場人物がフグだからって、好きだった人が夢に出ちまったもんはやっぱり嬉しいに決まってて、付加価値フグ強すぎるけど、やっぱりどっかエモい…エモ…エモ…エモーショナル?な気分になっちゃって、事務所へむかう電車では先生の好きだったPay money To my Painを聞いたよ。登場人物フグの夢とはいえ、ね(今なんとなくエモーショナルの意味をぐぐってみたら、「心地の良い懐かしさや良質なセンチメンタルに襲われたとき」って生成AIが言ってたよ。まさにそれ───)。

 

Pay money To my Painのボーカルはもう死んでて、それも先生からこのバンドを教えてもらう数ヶ月前に死んだらしい。

実はボーカルの人はもう死んでるねん。先生がどんな言葉を選んでどんなふうにそれをおれたちに伝えたのか、それにおれたちはどんなふうに答えたのか一切覚えていないけど、最近ふと、おれの好きだった先生はこのバンドを「つなぐ」ためにおれたちに教えてくれたのかもな。って思った。いわゆる、愛だな。

誰にでも愛に溢れた人だったから、こんなおれのことも気にかけてくれてたんだしな。単におすすめのバンドを教えてくれたわけじゃなかったんじゃないかな。繋ぐためなんて、そこまでの高尚な想いは込もっていないかもしれないけど、いまでは何となくほんとにそう思う。